雄鶏、食べたい!
2014.4.16
こんにちは、アカネです。
前回の鶏飼育記の続きです。

〈前回までのあらすじ〉
鶏の飼育を夢見ていた私たち夫婦に、地鶏の番をくださった神・大家さん。しかし、早々に雌鳥が脱走してしまいます。悲嘆にくれる私に救いの手を差し伸べてくださったのは、もう一人の神・ストローファームの社長。自分のところの“後藤もみじ”という卵鶏を譲ってくだすったのです!!
ひとり寂しく暮らしていた雄鶏は、“後藤さん”にすっかりフォーリン・ラヴ♡ 卵鶏として改良されまくった後藤さんが、本能を取り戻し抱卵を始めることを夢見て、私はストローファームの端材で巣箱を作らせてもらったのでした。。。。
明日鶏小屋に巣箱を入れたときの後藤さんの顔を楽しみに思いながら、床に就いた夜更けのことです。
突然のけたたましい鶏の悲鳴とはばたきで、私はとび起きました。「来たか!!」と思ったのです。
懐中電灯を探すのももどかしく、私は外に飛び出し、鶏小屋の戸を開けました。中で鶏が逃げようと金網に当たりまくっているのが見えます。
そのとき、私の足元を、細長い小さなものがさっと走りました。鶏小屋の入り口は、ベビーベッドの柵と金網で囲ってあったのですが、その小さい生き物は何の躊躇もなく消え去りました。
直ぐに懐中電灯を持ってきて中を照らすと、金網には鶏の羽がたくさんこびりつき、雄鶏が倒れていました。
鶏を襲う獣はいくつかいます。
野犬や猫だと、獲物を一羽捕まえると、巣穴まで持って帰ってそこで食べます。
けれど、テンやイタチ(ハクビシンやタヌキという人もいます)は、一回の侵入で殺戮を繰り広げ、鶏を全滅に至らしめます。不可解なことに、やつらは死んだ鶏を食べず、首から血を吸うといわれています。
高知では、実際にどの動物かはわからないけれど、このような殺し方をする恐ろしい獣を“とま”とか“とまこ”と呼んで恐れています。私の実家でも、昔は鶏を飼っていましたが、定期的にとまに襲われ、何度も金網を頑丈にしたり、隙間を塞いだりしましたが、とまの侵入を阻むことはできず、結局飼うのをやめてしまいました。
私もとまの恐ろしさを知っていたので、夫が鶏小屋を作る際、隙間をチェックして防いでもらっていたのです。
それなのに。
それなのに、とまの侵入を許してしまった。
大家さんの善意でいただいた大切な鶏を、二羽とも失うことになってしまった。
私は悔しくて悲しくてたまりませんでした。
翌朝、雄鶏は脚をぴんと伸ばして、首をおかしな方向に曲げて倒れていました。時折ばたつきますが、姿勢を起こすことはできないようです。
奇跡的に、後藤さんは無事でした。私たちの発見が早かったことと、雄鶏が身を挺して護ったからでしょう。
雄鶏は後藤さんを愛していました。それは見ていてわかりました。雄鶏は、餌をやるといつも後藤さんの目の前で餌をついばんでは落として見せ、後藤さんに教えてあげていました。また、いつも後藤さんに寄り添い、金網越しに猫に喧嘩を売ったり、勇ましくいなないては、自分のカッコよさをアピールしていました。
暗闇で、全く目が見えない状況で、恐ろしい敵と戦って倒れた雄鶏・・・。そして、無傷の雌。
私は今まで、鶏の頭の悪さを見下していましたが、雄鶏の漢らしさ、愛情深さに胸がいっぱいになりました。
私たちにできる最良の方法は、鶏小屋を頑丈にすることと、雄鶏が生きているうちに絞めることでした。朝ストローファームに遅れていくことを連絡し、夫と二人で絞めました。
雄鶏の羽を交差させ、太ももに挟んで、暴れないようします。夫が喉を切ってくれました。
「骨に当たるぐらいまで深く切ったで。」という夫に惚れ直す私。
その後、私が出勤した後で、鳥の羽をむしり冷蔵庫に入れるまでやってくれた夫。夕方、私は急いでストローファームから帰り、インターネットに繋いだパソコンを前にして、鶏の解体を始めました。
丸裸になった雄鶏の首には、激しく損傷した後がありました。(血を吸って死骸は食べないって・・・ほんじゃ巣穴の子供たちは何食べるんですかね??)
途中で夫も帰ってきて、固定カメラで詳しく説明しながら解体している動画を見ながら、二人で捌きました。
そして、炭火焼にしました。
味は、すっっっごくおいしかったです!!!弾力があって、歯ごたえがあって、味が濃くて、特に胸肉が最高でした。トサカや白子もいただきました。
この日までに後藤さんが生んだ卵は三つ。雄鶏の血を受け継いだ可能性がある卵です。ネットで調べると、雌鳥の中で精子は一週間は生きているそう。なんとか後藤さんが抱卵の本能を取り戻して、雄鶏の雛が産まれてくる奇跡に賭けるしかありません。
私は巣箱を鶏小屋に入れ、とまが入ったと思われる入り口の下を丸太で塞ぎました。
けれど、餓えた野生動物の本当の恐ろしさを知るのは、これからなのです・・・。
(職場のブログで勝手に連載を始めていいものか疑問に思いつつ、つづく。)
山のくじら舎 http://yamanokujira.jp/


