サクラのおはなし
2013.9.10
ストローファームでヒノキの次に多く使われている木はサクラでしょう。
サクラはヒノキよりも固く、年輪がわかりにくくて、樹皮の近くの白い部分と、幹の中心の油分を溜め込んだ濃い色の部分との境目がはっきり分かれます。
ヒノキは柔らかくて温かみがあるのに対し、サクラは固くて冷たく、つやつや、すべすべしています。
色も、ムラのない赤みがかかった茶色だったり、ムラの激しい緑色だったり、濃い茶色だったりと、本当に同じ木なの?と思えるぐらいバラエティ豊かです。
サクラのおもちゃを磨いているとき、あまり削れなくなったサンドペーパーだと、木の表面が焦げてしまうことがあります。このとき、不思議なことにまるでパンが焼けるような甘い香りがするのです。
私はストローファームに勤めだしたばかりのとき、社長婦人(ようこさん)がパン作りが得意と聞いていたのを思い出し、「あぁ、ようこさんがパンを焼きだしたのかなぁ」と思っていました。その当時はまだ社長たちは工房に改装した家に住んでいたものですから。
サクラが燻製用のチップとして人気が高いのもうなずけますね。
さてこのサクラ、木材になるのは私たちがよく公園や街中で花を楽しむ、ソメイヨシノではありません。サクラは日本だけでも数十種類あるそうですが、木材に適したのはわずかしかありません。主にヤマザクラを使うことが多いです。
ソメイヨシノは日本全国どこにでも咲いているので、木材にたくさん使えるかと思うと、そうではありません。ソメイヨシノは観賞用にのみ作られたサクラで、短命、病害虫にも弱いのです。ですから家具などにするには耐久性が弱いのでしょう。
以前社長が「ソメイヨシノは木目が美しくなくておもちゃには使えない」というようなことを言っていましたが、どんな木目なんでしょうか。けっこうマニアックな模様の板に出会うとわくわくしてしまう私としては、ちょっと気になります(笑)
ところで、源氏物語の中にも、サクラを愛で、散りゆく花に思いを馳せるシーンがあります。当時の人々が見ていたサクラはヤマザクラ。
ヤマザクラは真っ赤な葉と白い花が同時に枝を飾ります。そしてヤマザクラの枝は一本一本が天に向かって伸びています。(ソメイヨシノは人間が見やすいように横に枝を伸ばしますね。この辺もサクラの性格が表れているようです。)
そんな燦然と立つヤマザクラは、人間に媚を売ることなく、険しい山肌にさえも彩を加えます。
私はヤマザクラの雄々しい姿も大好きです。
花の美しさと、木材としてのすばらしさ、煙のかおり。ヤマザクラは本当にすばらしい樹なんです。


