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ここはその真ん中。明るい太陽の下、海と山の真ん中。
広く、大きく、豊かな自然の中で、海と山、人と暮らしが繋がる場所。

緑と青が美しいこの地で生まれた豊かな恵みを届けたいから、
わたしたちは、わたしたちが働くこの場所を、「山のくじら舎」と名付けました。

高知県安芸市という、山と海のちょうど真ん中に位置する小さな田舎に、私達の工房があります。自然に囲まれた環境と農的生活への憧れが強くなり、都会から夫婦で移り住んだのがこの場所でした。

緑がそよぐ田んぼを時々眺めながら、木を運び、木を削り、木を磨き、大切に木箱に詰めます。山のくじら舎の商品は元気なお母さん達が中心になって、一つ一つ心を込めて手作りしています。

お昼ご飯はみんなで輪になって食べます。
高知の新鮮な野菜をたっぷり使った味噌汁と、採れたてのたまご。そして玄米ごはん。派手ではないけれどおいしい温かなご飯で午後からも力いっぱい仕事をします。朝早くに働き始め、夕方に仕事を終えたら、今度は家族のご飯を作ってゆっくりと夜を過ごします。

田舎暮らしともの作りは、上手くいったりいかなかったり、そんな毎日の連続です。
それでも、ここでしか得られない、何物にも代えがたい豊かな時間と暮らしを得ることができました。

自然がそうであるようにゆっくりと。
枝葉を広げじっくりと根を張る「木」のような、手仕事と暮らしの形を築いていきたいと思っています。木が本来持つやさしさ、あたたかさが、毎日の生活を安心と潤いで満たしてくれること、 そして海と山が運んでくるあたたかな恵みが、次は誰かの暮らしを豊かにすることを願っています。

海や川のイメージが強い高知県ですが、実は森林率84%を誇る、日本一の森林県でもあります。
またそのうち人工林率は65%で、日本で第二位を占めています。

その中でも、近年では国内外からも高い評価を得る土佐ヒノキの特徴は、芯の鮮やかな赤みと強い香り。 たっぷりと脂分を含んでいる為、年月を経るごとに光沢が増していきます。

高知県は日本の中でも日射量や雨量が多く、南の国に近い気候でもあります。そのなかでも四国山脈に囲まれた清流・四万十川や吉野川の源流域は、温暖な地域でありながら寒暖差が大きく、台風や大雨が多い地域でも知られています。この、時には厳しい気候が木に強度を、そして豊富な油脂分を与えるのです。熱に強く、耐水性や耐久性に優れ、殺菌効果も高いことから、古くは神社仏閣の建築にも多く用いられてきました。
山のくじら舎で使用しているのは、本来であれば山に残してしまうはずだった切り株や間伐材が中心です。
高知県の山の恵みを余す所なく活用し、森林環境の保全にも携わりながら、県産材の魅力を多くの方に知っていただきたいと願っております。

触れると肌に吸い付くような質感や美しい木肌、そしてやさしく広がる香りは、これまでも、これからも私たち日本人にやすらぎを与えてくれるでしょう。

スタッフはみんな、ここ高知で生まれ育ちました。自らも子どもを育てる母親や、その娘である若い女性たちです。
私たちはこの土地を愛し、ゆとりある豊かな暮らしを楽しみ、ここで育まれた自然からの贈り物を材料に、日々ものづくりと向き合っています。我が子を、そして大切な家族を思うお母さんの気持ちにも似た愛情を、その小さなひとつひとつに閉じ込めて。
これからもぬくもりのある、優しい木の道具を作り続けていきたいと思います。