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【コミックエッセイ】一進一退の工房戦

2014.9.26

アカネです。雨続きで夏らしいことがほとんどできないまま、朝晩が涼しくなってきた今日この頃。夜空には大きな月が輝いていました。そして、その月に照らされて、夜空を埋めつくさんと広がった鯖雲が青白く光っていました。

 

さて、お盆休みが終わると、予想通り、注文の嵐でございました。連休前も忙しかったのですが、今はその時を上回るてんてこ舞い状態。ある時、私は思いました。

「一昔前に話題になった、“漫画カメラ”なら工房の忙しさを表現できるのでは!?」

 

漫画カメラとはスマートフォンのアプリで、撮った写真をまるで漫画のような画質にして、さらに擬音語などをつけれるというもの。

せっかく漫画風にするのですから、今回の記事は少し趣を変えてエッセイ風にしてみましょう(笑)。

 

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朝がやってきた。

ストローファームのスタッフたちがぞろぞろと集まってくる。みんな、どことなく緊張した面持ちだ。

「昨日の夜にどれだけ注文が入ったのか?」「今日はいったいどんな注文が入るのか?」「果たして間に合うだろうか?」口には出さずとも、各々がそんなことを考えている。

スタッフたちは無意識に黒板に目をやる。黒板には、注文数に足りないおもちゃの数字が書かれている。優先すべきおもちゃには赤線が引かれ、プレッシャーを与えている。内容は刻一刻と変わるので、常に気を付けてチェックしておかなければならない。

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(元の写真)

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八時半。戦いの火ぶたは切って落とされた。スタッフも、ただの主婦から今や戦闘員の目をしている。猛烈な勢いでおもちゃを作っていくのだ。

工房は、機械の音で満ちている。ドリル、集塵機、サンダー、糸鋸、トリマー・・・。数々の機械が唸りをあげる。

ドリルで“おふろでちゃぷちゃぷ”の口や目の穴を開ける人。

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(元の写真)

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“赤ちゃんのおもちゃセット”の中の、“コロコロ”を組み立てる人。

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(元の写真)

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削る人や磨く人。

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(元の写真)

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こうして、次々とおもちゃができあがってゆく。完成したおもちゃは、二階の事務所に運び、そこでオイルや焼ペンなどの仕上げをしてもらう。黒板に書かれている品目はどんどん少なくなっていく。スタッフの顔に、ようやく安堵の色が・・・。浮かびかけたときであった。

二階の事務所から足音軽く下りてきた陽子さん。すいすいと黒板にチョークを走らせたのだ。

 

・・・なんと・・・・、朝より増えている・・・!?!?!?

 

覗き込むスタッフ、走る衝撃、ざわめく工房。

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見よ、Mさんなどもはや見なかったことにしている。黒板の情報など、どこ吹く風である。

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しかし、すぐに頭を切り替えたMさんおよびスタッフ一同。一丸となって、残りの時間までにできる全ての力を出し切って、取り組んでゆく。その姿は、まさに巨大な獲物に跳びかかって喰らい尽くさんとする、ライオンと呼ぶに相応しい。

 

就業時間になると、みんなやり切った感でいっぱいだ。注文を全部こなすことはできなかったが、とりあえず急ぎの注文は間に合った。お客さんをお待たせせずに済んだのだ。

急ぎの注文をこなすだけで精いっぱいの工房。

 

・・・クリスマスが近づいたら、一体・・・・。

 

いや、しかし、彼女たちなら大丈夫だろう。彼女たちなら、乗り越えられるはずだ。そう信じ、今日も戦士たちは創意工夫に励んでいる。

 

(完)

 

山のくじら舎 http://yamanokujira.jp/

 

最悪の稲刈り

2014.9.4

こんにちは、アカネです。

長かった夏休みも終わりました。ストローファームも一週間のお休みをいただきました。お客さまにはご不便をおかけしましたが、これからもスタッフ一同元気いっぱいおもちゃを作って行きます!

 

さて、今年は西日本は雨ばかりで、まるで梅雨のような一ヶ月でした。

おかげで、実家の稲刈りも大打撃。

例年はお昼時によさこい祭りをテレビで見ながら、稲刈りに励んでいるのですが。

最近の稲刈りの主流はコンバインです。コンバインは、稲を刈り取りながら一気に脱穀もできる最強の機械です。藁は粉砕され、田んぼに還元されます。

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私の実家でも去年コンバインを購入。去年は二日で終わりました。

ところが、今年の田んぼは稲刈りだというのに、まるで植えつけ時のような状態。無理やりコンバインで刈ろうとしたのですが、濡れた稲がチェーンや歯車に絡みまわって、父は何度も機械を止めては稲わらを引っこ抜いて・・・その作業に何時間もかかるありさまでした。

ついにコンバインは諦め、旧世代の機械バインダーを使うことに。バインダーは、乗車式のコンバインとは違って、人が後ろから押しながら稲を刈り取っていく機械です。麻ひもをセットすると、自動で稲を束ねていってくれます。

ぬかるんだ田んぼの中を、父がバインダーを押し、私と母、夫はバインダーが吐き出した稲束を濡れていないところへ集めていきます。

そして父が竹を切ってきて、田んぼの中にハゼを作り、稲束をかけていきます。そしてハゼまで稲束を抱え、ふくらはぎのところまでぬかるむ田んぼを往復します。

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そうこうしているうちにまた雨が降ってきてそのあとの作業は中断・・・ということが何度もありました。

 

そんな間にストローファームの夏休みは終わり、休みの間の注文を山ほど抱えたストローファームに、さらに稲刈りのための休みをお願いしなければなりませんでした。とても心苦しかったのですが、

「いいよいいよ、稲刈りなんて今しかできんのやから」

と気前よくお休みをくださる社長(涙)。ありがとうございましたT_T

 

おかげで、なんとか稲刈りは進み、残るは田んぼ一つのみ。

しかし、この田んぼ、台風でべったりと稲が倒れていたのです。そして何日も泥に浸かった稲から、次々と発芽していたのです!

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「あの稲の列の間の草、全部発芽しちゅうがぞ。」と父。

「え~、まさか。雑草やろ?」

信じられない私が近づいてみると・・・。

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ほんまや!!!!

 

なんということでしょう、田んぼの半分以上が、発芽した苗に埋め尽くされていたのです!

ぬかるんでいることと稲が倒れてしまっているので、ここではバインダーも使えず。

いえ、最初は使ってたんですが、てゆーか、発芽した稲もそうじゃない稲も一緒に束ねていったら、どうせ発芽してるのはくず米になってしまうし、乾燥代がもったいないやん?もうなんか水に浸かってるとこ腐敗臭するし!そんな米のためにこんなしんどいことやってられない!!

という訳で、本当になんということでしょう、コンバインが一世を風靡しているこのご時世に、私たちは手刈りをする羽目になってしまいました。水に浸かっていない稲だけを刈り、それを一つ一つ藁で縛って、ハゼにかけていくのですが、あまりの効率の悪さ、しんどさに、母がキレ始めました。

「もうこんな稲こうしてやる!ふざけんじゃねぇ、ポイ!!」

最初にバインダーで束ねた稲を、効果音付きで田んぼに捨てだしたのです。

そして、ついに母は言いました。

「お父さん、もうここの田捨てん!?」

 

結局、ここの田んぼは半分ほど刈って終了となりました。まだハゼにかけた分を脱穀する仕事が残っていますが、なんというか、今年の稲刈りは 最 悪 でした。最後の田んぼに至っては、代掻きから稲刈りまで、田んぼに汗と時間を投入してきた父には報われない結果になりました。

 

我が家の米は自家用ですし、天候に左右されるのは農業の宿命、仕方のないことです。それに、最悪と言いながら、稲刈りができるだけでありがたいことかもしれません。広島では土砂崩れの中に田畑が呑み込まれたところもあるのです。

高知ではまだまだ雨が降り続いています。秋に稲刈りの地域は、天候に恵まれるといいですね。

 

山のくじら舎 http://yamanokujira.jp/